幕末の斬られ酒
八郎はどんなものでも、手あたり次第にかぶりまくった。かぶれる限りは、なんでも乗っける。あらゆる他人を、すべて自分のために利用した。筋合いもルールも、ありゃしない。義理も人情も、頓着なし。けろっとして、ズロキった。当然手がこんでくる。こみすぎて、あげくに酔っ払わされて、斬殺されてしまった。斬られ酒のほうでも、メイン・サンプルにあげられよう。彼はノンベーというより、愛酒家だったとされている。”白馬”ことドブロクを、とくに好んだらしい。省内の出にふさわしい。あれはソフトタッチだが、ほんとうは強い。-
長崎で、彼はブドウ酒を振舞われた。が、「苦酸、のむべからず」 あとで、悪口を書いている。 うなずける。ドブと比べたら、ワインはまさにエグくて酸っぱかろう。清酒党なら、「飲むべからず」ってほどの違和は感じないのではないか。竜馬などは、喜んで飲んでいる。徳川慶喜も某日、松平春嶽とシャンパンを楽しんだ。もっとも、八郎のワインくさいしゃ攘夷屋のポーズとの見方もある。
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